200年住宅とは、欧米並みの長寿住宅を意味するもので、具体的な指標ではありません。今までの「建てては壊す」サイクルをやめ、長持ちする家を建てて大切にしていこうという住宅政策への転換が進んでいます。
200年住宅という考え方
日本の住宅政策は、2006年に制定された住生活基本法で大きな転換期を迎えました。これまでの「建物を建てては壊す(スクラップ&ビルド)」という流れを変え、長持ちする家(=200年住宅)を建ててそれを大切にし、価値のある中古住宅を増やし売買を活性化させましょう、というものです。既存住宅の活用に重きを置くことで住宅を取得しやすくし、家のスクラップによる産業廃棄物を減らし、地球環境の保護につなげることを目的にしています。「200年住宅」とは具体的な指標ではなく、そのくらい長持ちする家をつくりましょう、という意味で用いられます。2009年、200年住宅構想が具体的な形となり、新しい法律として制定されました。それが「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(長期優良住宅法)」です。それ以降は「200年住宅」ではなく「長期優良住宅」と呼ばれています。
制定当初は、新築住宅でしか認定を受けられませんでしたが、2016年2月には、新たに増改築に係る基準も設けられ、中古住宅に於いても認定を受けることが可能になりました。
200年住宅に向けた公的支援
それまで日本の住宅の寿命は30年、アメリカは55年、イギリスは77年と言われ、その差は大きく開いていましたが、長期優良住宅法には、欧米並みの長持ち住宅となる家の基準が決められました。長持ちする家を建てるには建設費がアップするため、それを補う形で減税制度などの公的支援が整えられました。住宅ローン減税が一般の住宅に比べ拡大されたほか、住宅ローンを組まない人にも標準的な性能強化費用相当額の10%、最大控除額65万円(60万円)※消費税8%または10%の間合いの額。それ以外は()内の額。をその年の所得税から控除できるという特典がつき、登録免許税、不動産取得税、固定資産税なども優遇策が設けられています。また、長期優良住宅に対応した住宅ローンの供給支援として、最長50年の住宅ローンが組めるようになったほか、フラット35Sの金利優遇の期間を一般住宅より長い設定としました。
また、増改築の場合には、「⻑期優良住宅化リフォーム事業」により、最大250万円の補助を受けられる場合があり、フラット35リノベでは、適用金利の引き下げを受けることができるようになりました。
100年コンクリート、長期優良住宅などの取り組み
長期優良住宅法が施行されてから戸建て住宅での導入が進み、3大都市圏及地方都市圏では全体の6割程度の新築住宅で長期優良住宅の認定を受けています。日本全国平均ではもう少し下がると思われますが、 2009年の発足以来長期優良住宅の取り組みが浸透してきていると言えるでしょう。一方、マンションでは長期優良住宅の厳しい基準をパスすることはなかなか難しく、戸建てほど認定住戸数は増えてはいませんが、都心部などを中心に認定された長期優良住宅が供給されています。寿命が100年あるとされる「100年コンクリート」の採用や、構造躯体と内装設備を切り離して設けるスケルトン・インフィルの採用など、様々な取り組みが行われています。